花と金魚

自然や風景が好きでよく描いています。
鳥や動物、花、人そしてモノ。
共存しあい一生懸命生きるそれら全てが「僕の風景の中の一つ」として考えています。
風景は四季の変化の様にどんどん変わります。見る人によっても変わります。
その日の感情にでも敏感に変化しているものです。風景は与えられるものではなく自分を照らす鏡のようです。

命あるものをつくり色や形の「存在感」を表現できればと思います。

当時土間には囲いのない小さな部屋みたいな空間がありました。
庭が見え月夜の静けさを感じる小上がりの土間でした。朝食だけを食べる小さな一角。
そこに丸い御膳がありその横に祖父が花を生ける鉢を金魚鉢にもなるようにと置いてくれていました。
透明な月夜のあかりはゆらゆらと僕が祭りで掬った朱色の金魚を映し出し昔見た風景がゆらゆらと揺れては消える遠い記憶とあい混じって蘇るそれは温もりを感じる静かな色の集まりでした。